眠りつく前に聴いてみたいなぁと購入。
お気に入りの香を焚いて。
部屋の明かりを落として。
最初は小さな音量から様子見。
なに なに?
ふむふむ。
ほぉ~。
水音の中に鹿威しがかこ~ん、かこ~ん。
うぐいすの声がちらほら。
ふ~ん、竹は吹き渡る風の葉ずれで存在を感じてねってコトかぁ。
例えば畳の上、蚊帳のなかでうたた寝。
記憶をたぐる曖昧な時間。
ゆったりと心に涼風。
もぅ少しあともぅ少し
鹿威しの間が開いていたなら
そうしたらまるで催眠術にかかる人のようにわたしは眠りに堕ちていくだろう。
静かな刻に似合う一枚。
想像は果てなく。
広い庭、苔むす樹々。
飛石。
池まで曳かれた水路には幼魚。
朱の薄くなってしまった橋の欄干。
季節は春。
争い萌え出す緑が美しい。
鹿威しが、また跳ねる。
想像の池でのたり、亀が水面に顔を出す。
辺りに
桜の樹は…見当たらない。
エンドレスで繰り返す切り取られた筈の空間。
今夜のわたしはどこに迷うのだろう。
だれかに逢うだろうか。
わたしは今夜もだれかを待っている気がしてならない。